全国俳誌協会 流派・傾向を越えた懇話会的な俳句の交流の場

全国俳誌協会

 -National Haiku Magazine Association-

平成29年度の活動 -全国俳誌協会-

 

全国俳誌協会、この一年

 昨年度、会員を対象とした協会賞と、広く四十歳以下の公募とした新人賞を設定し、それぞれ二十句と十五句を募集したところ、新人賞九編、協会賞二十編の応募があり、下記の結果となった。

  • 協会賞  日野百草(玉藻・鷗座・軸)
  • 出稼ぎの父春泥を押し戻す
    磯竈最後の海女が消しにけり
    帰省子の皆横たわる島の船
    玉砕の島より鷺の羽ばたけり(応募二十句より)
  • 協会賞奨励賞  山口明(軸)
  • 鈴生りの柚子弟がもしいたら
    冬が来ている内懐という異郷(応募二十句より)
  • 新人賞 該当無し
  • 新人賞能村研三奨励賞  松尾清隆(松の花)
  • 河骨のめぐり夜空のやうに水
    夜濯ぎの音とも貨物列車とも(応募十五句より)
  • 新人賞佐怒賀正美奨励賞 石川ゆめ(軸)
  • 流される裸足のままの夕化粧
    厳冬の島は生と死抱え込む(応募十五句より)

 協会賞の選考委員は大牧広、高野ムツオ、秋尾敏、佐怒賀正美、能村研三の五人。
新人賞は、秋尾敏、佐怒賀正美、能村研三の三人で行った。
協会としてはしばらくぶりの協会賞授与となったが、新人賞と併せ、これからの俳人を発掘する価値ある事業となった。

 その協会賞・新人賞の授賞式を兼ね、五月二十七日(土)には、中央区八重洲のコンタツビル一階において、第五十四回全国俳誌協会定時総会を開催。
俳人協会理事長となった能村研三副会長が退任して顧問となり、「出航」主宰の森岡正作氏が副会長に就任。
議案はすべて計画どおり承認された。総会後、協会賞、新人賞、並びに第二十三回全国俳句コンクールの授賞式が行われた。
コンクールの上位入賞句は次のとおり。

  • 全国俳誌協会賞
  • 日向ぼこ吾を忘れし母を抱く
  • 奥村 利夫
  • 優秀賞
  • 海に出て大きくなりし冬星座
  • 中村 洋子
  •  
  • 鬼やらひ父は退治に行つたきり
  • 工藤  進
  •  
  • うなづいてくれる人ゐる日向ぼこ
  • 坂中 徳子
  •  
  • 東京は訛脱ぐ街襟立てて
  • 石田  静
  •  
  • 手秤の若布を足して浜の市
  • 平井 絹江
  •  
  • 太陽のずしりとありし春田打つ
  • 岡田 淑子
  •  
  • 武将凧空ごと吾子へ渡しけり
  • 保坂 和郷
  •  
  • セーターの色ほど若くなかりけり
  • 土山フミ子
  •  
  • 草の絮メソポタミアへ行くつもり
  • 河村 正浩
  •  
  • トラックの上の種豚春一番
  • 佐藤 晏行
  •  
  • 紫陽花は海が見たくて青になる
  • 日野 百草
  •  
  • 一本の杉大寒の月を抱く
  • 佐々木幸子
  •  
  • さくらさくらあなたの椅子は空けてある
  • 保坂 末子
  •  
  • 忘却の入口という日向ぼこ
  • 山﨑 政江
  •  
  • 天上の落し穴より春の雷
  • 星野 一惠
  •  
  • 望郷や蛙の卵透きとほり
  • 木村 美翠

総会終了後の俳句大会も密度の濃い句会となった。

  • 第一位
  • ポケットが浅くて虹が逃げてゆく
  • 鍬守 裕子
  • 第二位
  • 実梅ころころ遊んでばかりいて困る
  • 表  ひろ
  • 第三位
  • バターナイフきらり万緑のひとかけら
  • 野口 京子

 

八月十九日には北区の北とぴあにおいて当協会協賛の「第四八回原爆忌東京俳句大会」が開催され、常任幹事早乙女文子が実行委員として参加。 記念講演は長谷川櫂氏。


十一月九日(木)には、墨田区両国周辺にて第五十九回秋季吟行俳句大会を開催した。
句会場は東京東信用金庫本部大ホール。
「鷗座」の松田ひろむ主宰、「かびれ」の大竹多可志主宰らの参加もあって、充実した吟行会となった。次に上位句を示す。

  • 第一位   金子未完
  • 花八手百まで相撲見て暮らす
    国技館は空っぽ相撲の神も留守
  • 第二位   森川淑子
  • 初冬の水かげろふが樹をのぼる
    冬青空HOKUSAIとある案内板
  • 第三位   岡田淑子
  • 北斎や両国橋を葱下げて
    いくたびも焼かれし江戸の大銀杏
       

本年度募集した第七回編集賞には、過去最多となる二十六誌の応募があり、伊藤一郎氏、恩田侑布子氏、田中利夫氏による選考の結果、編集賞が「汀」(井上弘美主宰)、編集特別賞が「天荒」(野ざらし延男代表)に決定した。授賞式は十二月十五日(金)に、東京上野の上野精養軒で行われる予定である。
 加盟誌は順調に増えているが、一方で廃刊となる俳誌も多く、今一度、協会の目的を再認識しつつ、組織の拡大と、現在の俳壇でどのような活動が有効であるのかを慎重に考えていきたい。

        
▲TOP